WORKS学生作品上映

武蔵野美術大学 映像学科 3年次実技「メディアアート1」音響映像ワークショップ 2012年~2019年 

Musashino Art University - Dept.. of Imaging Arts and Sciences 

担当教員:Christophe Charles(クリストフ・シャルル) 


https://youtu.be/NtzHj6qDQFw


映像→音響

映像を「楽譜」として使用し、音響を制作する。


ランドスケープ Landscape


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1- 長澤 宏宣「Shinjuku New South Gate」(2013)[2:21]


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2- 関 燿「Shy Waves (are not Real)」(2015)[2:45]


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3- 高木 福太郎「Inner City Dub」(2016)[3:38]


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4- 森重 光「35.692899, 139.488193 / Kokubunji」(2019)[7:18]



マニピュレーション Manipulation


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5- 磯部 蒼「Vegetables」(2013)[4:31]


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6- 中原 三貴「Conversion of the Sound by the Image 映像による音の変換」(2013)[5:31]


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7- 稲見 暢「Daily Booster」(2015)[2:22]


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8- 田嶋 瀬里音「私という機械」(2016)[2:40]


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9- 前田 博雅「The Stream of Stones」(2016)[4:12]


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10- 鷲尾 怜「ジカン」(2016)[2:34]


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11- YE ZIYI「Rhizome」(2019)[2:48]


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12- YUAN SHUOHAN「会いに行く」(2019)[3:19]


アブストラクト Abstract


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13- 薄羽 涼彌(2012)[4:34]


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14- 福島 涼太(2013)[1:56]


ムーブメント Movement


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15- 神谷 峻輔「Study for アレのための装置類」(2013)[2:49]


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16- 伊藤 かがり「寄せてはかえす again and again」(2015)[2:09]


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17- 佐野 栞「Masticator」(2015)[1:38]


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18- 梅本 尚弥「ほうっておいてくれ」(2016)[4:04]


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19- 放課後メディアアート芸術祭公演(2014)[20:50]

 映像:長澤 宏宣、中原 三貴

 演奏:磯部 蒼、神谷 峻輔、野上 勝己、福島 涼太

 ダンス:坂藤 加奈、正村 暢崇

 テーマソング:依田 茉梨絵、神谷 峻輔


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武蔵野美術大学 映像学科 2020年 メディアアート1(3年次実技)中間発表:"new normal"

Musashino Art University - Dept.. of Imaging Arts and Sciences 

担当教員:Christophe Charles(クリストフ・シャルル) 


https://youtu.be/2Nb5CBUm3Dc


「ニューノーマル」について

「ノーマル」は英語的発音で、その語源はラテン語の「ノルマ」:セットスクエア、定規。

それに伴って「標準」、「平均的な状態」を示す。

「従うべきルール」と見なされ、判断・行動の基準・原則にもなる。

パンデミックによって「新しい」基準は生まれるのか?

その基準によって人間はそれまでの行動を変えるのか?

そのような「基準」は本当に存在しているのか?


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1

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ロ・カダイ Lu Jiadai

「空白」


新旧交代にはルールとか存在していない。いつの間にか見慣れた私たちの日常が何らかの理由で突然変われるかもしれない。そういう変化も時間の流れによって新しい生活に変わって行く。私に対して、コロナの影響によって、住んでいる町がほぼ半年間ロックダウンされていた。車の窓から何もない、誰もいない町を眺めて、私にとっての『新しい日常』でも言えるべきではないかと思う。


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2

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市堰楓子 Ichiseki Fuko


新しくなる前は古かったりするわけで、その枠組みがなければ一つの流れである。

ニューノーマルは定義される前から存在していて、時間的枠組みを表明されたことによって認識された概念であると私は考えている。投げる(音)、痕跡(無音の音)のフレームを備える「少年の壁打ち」はこの概念と酷似し、また、時間やテキストなどの枠組みという点で、「無音音楽」ともその構造はよく似ている。

枠組みの意識が私たちに新しい日常をもたらすのである。


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3

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谷口 遥奏 Taniguchi Haruka

「触れる」


気がつけば、今まで何気なくできていた触れるという行為を恐れるようになっていた。

触ることができる。それは思っていたよりも重要なことだったようだ。たったそれだけで、世界をぐっと近くに感じることができていた。

私のnew normalは、近づけなくなった世界に触れることだ。


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4

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イ・ジェウォン Lee Jaewon

「Lamron Wen」


いつの間にか新たな日常が浸食してくる。気付くのが遅いいつもの私。崩れていく心と体を押さえて苦しみもがいても無駄。それでもちょっとずつ痛みに耐える喜びを覚える。慣れてしまった自分をふっと見ると、なぜか神経質になってしまう。強迫的な私は下に下に沈殿していく。そう、沈殿物になる前に、窒息する前に、この新しい日常と共にひとつの腫れ物になろう。


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5

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チョウ・シュンガイ 張 竣凱

「FLY」


蝿の反応速度は1/50秒、人間より12倍速い。つまり、彼らが感じられる時間の流れも遅いことを意味しています、スローテンポで流れる映像のようです。

本映像は一匹の蝿の行動軌跡を手がかりにする、蝿の視点を使って,映像を感知するのプロセスを延長し、この世界をもう一度観察して、マジックリアリズム主義の叙事手法を通じて、今世界の「New Normal」を表現します。


A fly's reaction time can get to 50 milliseconds, which is 12 times faster than that of human's. Therefore, their sense of time is much slower, like a film played in slow motion. 

This video follows a fly's trail. Through the perspective of a fly, the film extends the time it takes for one to process image. The fly's perception also allows one to view the world in a different perspective, conveying the "New Normal" through Magic Realism.


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6

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横場 優里 Yokoba Yuri


新しい日常が訪れるといより、これはあるべき姿への正常化とシンプル思考である。

自粛中私は不必要なものが部屋に溢れていることに気づいた。消費のあり方は必要なものだけを、大切に使うという当たり前のものに変ってきている。流行や便利さなどの追求を削ぎ落とすとどれくらい不必要なものがあるだろう。様々な概念を剥いだときこの世界はきっと海、地球は水の惑星になる。海の音を丁寧に聞いてみよう。無駄のないものだけでどれほどのものが生まれるのか。そこにいくつもの旋律があるのに気づく。


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7

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萩原 小百合 Hagihara Sayuri


New nomalなんかに関わらず、私は本を読むのですが、何かあった時でも手に入るものは古いものだなと思いました。また、前見えていた青空が見えなくなるような、日常が変わるようなことがあっても、寄り添ってくれるのは役に立つかなどとはかけ離れた先人の言葉なのだと。媒体を変えながら、青空の化石はどこかに残っている。


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8

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加藤 瑠菜 Kato Runa

「花菖蒲」


人がどう在ろうが、毎年起こる事がある。去年と同じように、菖蒲がその花を咲かせていた。

変わったのは、それを見に来る人々のほう。

時期になると人でごった返していた園内は、今、見ごろの菖蒲を前にまばらな人影があるに留まっていた。

これが今は異常に見える。

でも、この先もこうやってゆっくり写真が撮れる状態が続くなら、それこそが「当たり前」になるのではないか。


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9

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酒井 日花 Sakai Nichika

「卵記」


自粛生活が始まって、朝早く起き卵を焼き始めた。

突然の新しい生活に、適応できてしまった自分に対して物足りなさのようなものを感じていた。行動は、自分にもイレギュラーを起こすためだったのではないかと現在は考えている。新しい生活に人々が驚いて困っている。朝、早く起きて卵を焼いてパンと食べる。私のニューノーマルであり、以前の異常である。


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10

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安藤 美由 Ando Miyu

「呼吸」


これは呼吸と気分の関わりについての作品である。

意識しなくてもできていたはずの呼吸が苦しくなった。

呼吸の苦しさと、この気分の重さはどちらが先に来ているのか。

身体と私は一括りではないのかもしれないという疑問が生まれ、それを探るための最初の手段としての作品。


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11

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岩崎 雅 Iwasaki Miyabi


線香花火を現実に見ているときは「映像を見てるみたい」と思うのに、映像の線香花火を見 ているときは実際目の前で線香花火が光っているのを見ているような体験をする。現実に見 ていた風景が、数秒後には本当に存在していたものの記憶なのかわからなくなる。最近は もっぱらこのような不安を拭い去りたくて映像を作りたくなってしまう。 自分の深層が維持したいと願っていて、かつ生命維持には直接関係のあるわけではないノー マル(日常)について、自分の目で見えているものを信用している時のことを考えることで 紐解いていけるかもしれないと考えている。 


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12

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細野 楓果 Hosono Fuka


新しい日常ということで。 まあ最近でいうといろいろ変化したこともあると思うのだけれど個人的にはやはりウィズコロナ というものが印象的で。 今まで生きてきた中で病気とともにどう暮らすかという展開まで持って行かれたことがなかった ためなかなか難しいなと考えさせられる日々が続くのだが、それはそれとして日本人の日常とし て現在はかなり「狼探し」というか、人狼ゲームを日常で行っているような気がする。 誰かがマスクをしていなければ後ろ指をさしてくるし帰省したらお気持ちたっぷりの張り紙が送 られたり。自粛警察といわれるものも最近あったけれど""犯人探し""が日常的に行われている。と いうか多分これは隠れて見えていなかった部分が見えるようになってきたというところなのだろ う。 やること陰湿で本当に最近腹が立っていて、それの印象しか新しい日常というものが思い浮かば なかったのでこちらをの問題をテーマにした。 


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13

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サンティアゴ フェルナンデス Santiago Fernandez 


トイレットペーパーの3Dモデルが流れているたくさんの重ねた会話の音に反応して、形が変わったりします。バックグラウンドには意味不明なニューノーマルと感覚的やプライベート的に関連したいろんな歪んでいる動画が流れています。

自粛期間が始まってから、皆は今年予定していた沢山のことをできなくなり、将来に対する不安の気持ちがさらに増えたと思います。現実自体が停止し、世界が辺獄のようなものになってしまったという感覚を作品にしてみました。


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14

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松尾 駿太朗 Matsuo Shuntarou


新型コロナが感染拡大を続けていた3月、独メルケル首相は入国制限等の措置について、人命のためには仕方ないが一時的なものに留めるべきだと、移動の自由の重要性を強調した。彼女は東独の出身である。

東京オリンピックでも人々の移動と人命が天秤にかけられた結果、延期となった。私たちにとって移動の自由は当然のものとされてきたが、それが再考されるタームにきた。その点において、箱として機能する場所性の希薄な「Tokyo」のこの埋立地に、移動する価値はあるのか。


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15

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前田 明 Maeda Mei 


生気がが失われ血の気がひいていった気がした。同時に普段何気なく見ている赤色が色あせ、つ

いには色を失い意味すらも失った。信号の青と黄色の横にある光はどんな意味を持っているのだ

ろう。鼻の下にあるものはなんなのだろう。気にも止めずに血の気のひいた世界が回っていく。


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16

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前田 征太郎 Maeda Seitaro

「Political play」


所謂Z世代の通年としての無気力さ、それは力無き市民として意思を示す手段を剥奪され、また多くの災害の中での無力さを、制度的な問題と相まって感じ、それを当たり前に生きている事に起因していると考えられる。 その社会通念の様な無力さ、そして極端なリベラルがマジョリティである社会の中で、我々が意思を示す新たな文体が必要である。

武蔵野美術大学 映像学科 メディアアート 

Musashino Art University - Dept.. of Imaging Arts and Sciences 

担当教員:Christophe Charles(クリストフ・シャルル) 


「メディアアート」ゼミでは、美学的・哲学的な視点からの実験的なメディアアート制作を進めます。日本で展覧会やライブイベントなど、発表の場を数多く設け、海外の教育機関と共同で国際交流プロジェクトも展開しています。今回の2020年度8月のオープンキャンパスでは、上映プログラムとパフォーマンスプログラムを両方用意しております。それぞれのプログラムに学部4年生、大学院1年生と2年生が参加しています。


パフォーマンスプログラム[1]

8月15日 https://youtu.be/U35GJQ-YaE0

8月16日 https://youtu.be/WB7WU2wlF4s

(8月15日・16日、14:00~14:15、youtubeライブストリーミング、その後:オンデマンド)


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1


張 飛 チョウ・ヒ

即興パフォーマンス:「Why not see my room?」

尺:約 7 分


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2

大石 菜月

「生活の中で /  In your life」

尺:5-10 分

家の台所に転がっていた空きビンが、不思議な音の出るものに変わりました。このような発見をすると、生活が少しだけ面白くなる気がします。

武蔵野美術大学 映像学科 メディアアート 

Musashino Art University - Dept.. of Imaging Arts and Sciences 

担当教員:Christophe Charles(クリストフ・シャルル) 


「メディアアート」ゼミでは、美学的・哲学的な視点からの実験的なメディアアート制作を進めます。日本で展覧会やライブイベントなど、発表の場を数多く設け、海外の教育機関と共同で国際交流プロジェクトも展開しています。今回の2020年度8月のオープンキャンパスでは、上映プログラムとパフォーマンスプログラムを両方用意しております。それぞれのプログラムに学部4年生、大学院1年生と2年生が参加しています。


上映プログラム[1]

(7名、youtubeリンク、オンデマンド、約50分)

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1

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張 竣凱 チョウ・シュンガイ

「VACANT」


実験映像作品です、ソビエト作家ヴィクトル・シュクロフスキーの文化研究の中に提出する「Defamiliarization 」理論に基づく、今の常態に対してストレンジ化処理する。コンピュータインタフェースのzoom 会議ソフトウェアを通じて、開放叙事を探索する。

This is an experimental video based on the theory of "estrangement" discussed in Soviet writer Shklovsky's work "Art as Device".

The video intends to defamiliarize and "estrange" the current norm by exploring an open ended narrative through a Zoom interface on one's computer desktop.


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2

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楊 瑛頼馨 YANG PULAIXIN ヨウ・ボクライシン

「私はチャリ乗るのが大好き / We Love Cycling」


普段我々が見たのは大規模な活動領域だが、本当は言葉も行為も出る瞬間から拘束となり、我々の世界を狭まる。その一方で、自転車で引いた輪は必ずしも線画ではない。この実験で日々応答に窮する境界線を少しでも拡張させていただければ幸いです。

What we saw generally - a massive activity sphere is restrained from the moment words and actions come out. What bicycles draw is a circle but not linearly. We hope that this experiment will expand the boundaries of your daily response to a slight extent.


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3

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Lisa Woite ヴォイテ・リサ

「Don't Linger in Ruins 」


ある2 人の人は書面のメッセージで通信します。何かが起きたら、相手が静かになり、そして悲しみに対処するための秘密のアドバイスを提供し、メッセージがまだ同じ人から来ているかどうかわからなくなります。映像は、月島の静かな空の脇道の詳細を表示します。人間は反射やスキームとしてしか見えません。

「Don't Linger in Ruins 」は、おそらく世界の終わりの語になるかもしれませんが、コミュニケーションの終わりの話にも見えるんでしょうか。


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4

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李 宰源 LEE JAEWON イ・ジェウォン

「Untitled 」


事物の本質的要素とは何か。認識の変動が起こった時、必然的に別のものに変化してしまうのか。事物の変化と、その存在性の持続に関する形而上学的問に答えてみる。

What is the essential element of things? When changes in cognition occur, do they inevitably change to something else? Answer the metaphysical questions about changes in things and their persistence of existence.


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5

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袁 鑠涵 YUAN SHUOHAN エン・シャクカン 

「みなさんへ都会の愛着から」

制作年: 2019-2020


東京はオリンピックに向かって、いろな分野から前に進化している。"⼈工"というエフェクトを掛け、AIやロボットは人間の体を真似するだけではなく、意識を塑造し、人間を超える存在を目指している。新しい可能性や地球規模の都市間競争下で、私は捨てられた部分都市と都市しかない魅⼒を感じ、⾃自分は過激の変化で過去が恋しくなって、変化に対して拒否反応を起こし、しかし、都市の成⻑は⽌まらない、毎日成長しに⾏く。

私の中から⽣まれた"都市"とその都市の中にいる私が会話し、今の⾃自分の状態と都市から受け取ったメッセージがお互い影響して、生まれた物語でもある。 

Tokyo, where live now, is evolving from various fields ahead of the Olympics. By applying the effect of "artificial", AI and Robot not only imitate the human body, but also shape their consciousness and aim to be beyond human beings. Under the new possibilities and the global inter-city competition, I felt the attraction of only abandoned sub-cities and cities,I missed the past due to radical changes and rejected the changes. However, the growth of the city will not stop.

It's a story born from the conversation between "A city born from me", my current situation and the messages I received from the city. 


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6

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鐘 木晨鉦 ZHONG MUCHENYU  ショウ・モクシンギョク

「ever since」


木漏れ日の運働と変化を通じて、世の中の物事の変化と輪廻を体現します。


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7

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渡邉 実莉 Miri Watanabe

「ゆらぎがゆらがないとき / When wandering does not wander」


光はただの光で、そこに意味を与えているのはこちら側。

我々の知覚に揺らぎがあればそこに見える言葉も変わる。


Dog from Andrew Onorato on Vimeo.

愛と同じくらい孤独(1976) フランソワーズ・サガン

小説家フランソワーズ・サガンのインタビュー本である。内容としては、彼女の小説作法、人となり、私生活等が覗えるという、インタビュー本としての効能をもちろんのこと有しているが、更に面白いのは、質問に対するサガンの応答、その時制が取り払われて、複数の時間・時代の彼女の言葉が同等の鮮度で再構成されている点である。

この本に含まれるインタビューは1954~74年に各メディアがサガンに対し行ったものの寄せ集めで、しかし年代毎の章立て等はなく、まるでひとつのインタビューを写し取った文章のようになっている。本全体に、現在形がしつらえてある。