INTERVIEWオープンキャンパス2015 パンフレット連動企画

平成26年度卒業生

  • 中村小百合

    村小百合 平成26年度映像学科卒業/黒坂ゼミ所属/卒制作品『青春風』(アニメーション)/在学中は演劇に没頭

  • 神谷峻輔

    谷峻輔 平成26年度映像学科卒業/シャルルゼミ所属/卒制作品『アレのための装置類』(映像、インスタレーション)/在学中からパフォーマンス、音楽活動などマルチに活躍
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  • 山口紗清

    口紗清 平成26年度大学院映像コース修了/板屋ゼミ所属/修了作品『呼応は遠く流る』(インスタレーション)/学部時代から実写映像をコラージュした映像作品を制作

本日は平成26年度末に卒業したばかりの3名に集まってもらいました。卒業修了制作展で優秀賞をとられた御三方ということで、まずは大学生生活の集大成でもある卒制作品について聞きたいのですが、コンセプトなども含め制作動機を教えてください。

私はアニメーションを専攻していたんですけど、今のアニメのキラキラしたでっかい目やぺったりした平面の絵が、気持ち悪いなぁと思ってまして…。アニメはもっと「絵が動く」という根源的なことが魅力的だと思うんです。つまり、絵が生き物として動く。卒制ではその「絵が動く」をテーマに作りたいなと思っていました。

今の日本のアニメに対する反骨精神みたいなものが原動力?

そうですね、難しかったですけど。

制作期間はどのくらいかかったの?

作業自体は一ヶ月ぐらいでバァっと。全部デジタルで描いてるんですけど、だからこそできたのかな。今のアニメは古い技術に固執しすぎて、必ず鉛筆と紙で描かなきゃいけないっていう先入観が残ってる気がするんで。逆にそれ以外だと3DCGで!みたいに制作方法が極端なんですよね。そうではなく、もっと好きに自由に技術を取り込んでいってなんでもやっていけばいいんじゃないかって(笑)

アニメーションは集団で作るイメージを持っている人も多いと思うんだけど、制作は一人で?

作画に関してはそうですね。そういう意味でも反骨精神でした(笑)

中村小百合 卒制作品『青春風』

神谷くんは?

もともと写真を勉強したくて、映像学科に入ったんですけど、その間でダンスや音楽などの表現活動を学んだ結果、自分のやりたいことを全部を詰め込むことになったんです。進級制作(※1)の時、GoProっていう小型カメラを振り回して撮影しました。振り回すことによって、普段みているものと全然違う視点がみれるっておもしろいなって思って。そういったものをまた作ろうと思って始めました。

なるほど。映像表現は色々な機材の進化と共に発展していったという側面もあると思うんだけど、神谷くん自身、常にそういった機材やカメラにアンテナを張っているの?

どうですかね?GoProを使ってやってみようということだけは決まっていて、最初は小型カメラを通して、物理現象として「ものが傾く」「ものが倒れる」ことを小箱の中でやろうと思ってました。

神谷くんの作品は映像の中だけで起こる物理現象を撮るだけではなく、パフォーマンスを通して行為そのものを見せていったと思うんだけど、写真を志して入学した神谷くんがパフォーマンスに興味をもったきっかけって何かあるかな?

2年生の時のメディアアートです。体を使うこととデバイスを組み合わせて表現するという授業で、その兼ね合いがおもしろいなと思ったのがきっかけですかね。

興味があることすべてを力技でまとめるみたいなことが、あの作品が持ってるエネルギーなんだね。

神谷峻輔 卒制作品『アレのための装置類』

山口さんは今回唯一の大学院修了生だけど?

学部4年の時の卒業制作でできなかったことをやりきるのが目的としてありました。その時もイメージフェノメナン(※2)を専攻していて映像コラージュ作品を制作をしたのですが、細部を描くのが足りなくて、コラージュに使用している「もの」と「もの」のつながりまで踏み込めなくて。ただ空間を作るだけでなく、今回は、さらにその空間の中で何が起きているのかまでを描きたかったんです。

素材として一貫して「実写映像」を使用しているけど、何か特別なこだわりがあるの?

そうですね。現実にあるものは強いので。私が描いているものは「抽象風景」ですが、実写映像を通し現実世界のものを持ってくることで、どこかでみたことあるような気がするけど実際にはない風景を描くことができると思っています。

なるほど、ありがとうございます。

山口紗清 修了制作作品『呼応は遠く流る』

次にみんなの制作環境について聞かせて欲しいな。在学中は普段どこで制作していたの?

僕は所属していたゼミがメディアアートラボっていう場所を持っていたので、そこの一部を使って制作していたんですけど結局最後は外で。

一同(笑)

でっかい木箱を作ったんで、もはやそこが家って感じでしたね。

制作場所まで自分で作っちゃうんだね。中村さんは?

私は自分の家でずーっと描いていました。

(笑)。同級生との関わりなんかはどうだった?

制作自体は主に個人でやっていたのですが、ゼミの時にみんなの作品の途中経過を共有できるんです。それを見て、こういう技術があるんだったら、よしパクろうみたいなことはありましたね。

映像は音楽つけたり、いろいろな人が関わったりして完成するメディアだと思うんだけど、そういう部分も一人で制作したの?

複合芸術なのが映像のおもしろいところのひとつで。絵画とかは一人で完結する作品が多いけど、映像は色々な人たちのアイデアでひとつの形になるのがおもしろい。だから、今回の作品も音楽は他の人に作ってもらったり、声の演技も何人かにしてもらったり、たくさんのアイデアが盛り込まれています。

神谷くんは?

作品が大きかったので、一人でできなくなった段階で後輩に手伝ってもらったりしました。撮影も大がかかりで、10人くらいには手伝ってもらってました。

そういう意味でいうと映像制作においては人を惹きつける力みたいなものも必要なんだね。

最後は部活動みたいな感じでしたね(笑)

メディアアートラボ

このインタビューを読む人の多くがこれから武蔵美を目指す高校生だと思うけど、みんなの武蔵美に入る前と入った後の印象を聞かせてもらえる?

最初はもっと映画映画してる感じだと思ってました。

私は、もっと技術を詰め込まれると思ってましたね。

そう、実習が多いイメージがあったよね。でも実際は、作品に直結してない他の美術作品を紹介してくれる先生も多かったり。メディアアートの授業もそうですけど、全然想像していない授業も多かった。

私もいろいろなジャンルに触れられるっていうのが、他大と違った武蔵美の特徴なのかなと。そういう意味でわたしは入る前とのギャップは感じませんでしたね。

そして、イメージフェノメナンでさらに映像の可能性を広げていったのですね。中村さんは、どうして映像学科に?

アニメーションをずっとやりたくて、好きな先生がいたので目指してたんですけど、でも他にも色々なジャンルを知りたかったってのもあります。だって、アニメしか知らないってなんかバカみたいじゃないですか?

一同(驚)

さっきから、アニメーションをやりながらにしてそれをディスるスタンスはなんなんだろう(笑)アニメゼミのみんながそういう訳ではないよね?

わたしだけかもしれないですけど…。とにかく、私も色々知りたかったんで、武蔵美だなと。入ってみたら予想以上に自由だった。

うん。1、2年は課題が多くてけっこう忙しいけど、基礎を一通りやり終えたあとは、なにやってもOKみたいな!

映像学科に入っても表現の選択は色々あるんだね。学科以外での学生生活の思い出はある?

わたしはずっと演劇をやっていて、正直なところ映像作りよりも舞台ばかりやってました。

僕は、音楽ですね。メンバーはみんな武蔵美の奴で、学外でライブもしてました。

学外でも活動することの良さってある?

全然関係ないところに顔をだしたりするのっておもしろいですよね、海外であったり、ライブハウスだったり。美大生以外の人達と表現の場で肩を並べるのは大事。

さて、学生時代のことを遡ってお話しうかがってきましたが、現在のみなさんの活動は?

就職してポストプロダクションに入りました。入った動機は、自分の強みというか、がんばれば人に勝てそうなものを職種的に探したときにポスプロかなと。自分はずっと合成を学生時代にやってたので、合成系ならできるんじゃないかって。

合成系?

魔術師みたいですね(笑)

技術的にも成長できるんじゃないかなぁと思ったのもありますね。

個人制作も続けているの?

実際、作家活動か就職するのか迷ったんですけど、修了制作を作っていく中で、一旦個人制作は少し休もうかなっていうのがあって今はしてません。今は次に創作活動を再開するときまでに、編集の技術を磨いたりだとか、プロの技術を盗んだりすることが大事かなって。

卒業してもなお、インプットするための就職なんだね。

卒業してからも勉強ですね。学生の延長みたいなものです。

中村さんは?

学生の時からバイトで漫画家さんのアシスタントをずっとやっていて。今はそこで背景美術として就職しています。そこの漫画家さんはどんどん新しい技術を漫画に落とし込んでいくので、大学生活以上に勉強しています。わたしもまだ個人でなにかをやるってことにまで手が回らなくて、仕事で手一杯です。

修行中だね、いずれはどういうことをやりたいですか?

現在のスタジオは、がんばれば個人で仕事がもらえる機会があるので自分の名を売り出して、仕事をもらえるようになればいいなっていう野望があります。

野望、いい響きですね。在学中からいろいろやっていた神谷くんはなにを選びましたか?

Webコーダーですね。

一同(驚)

また新しいことをやってるんだ。

高校生のころ自分でホームページをつくろうと思って簡単なホームページを作ったこともきっかけとしてありました。漠然とパソコンを使って、自分の技術がつくような仕事がしたいなと思って、Webやってみようかなーって。

自分の在学中の発展として仕事を選んだ山口さんとは対照的というか、チャレンジャーだよね。

まだ新しく勉強できることがあるかなと思ったので。同じですよ。ここで働かせてくださーいって感じでお願いして会社に入りました。

人間力だなあ。個人の表現活動は?

二つバンドを続けています。じつはリリースが決まったりして、、

すごい!楽しみにしています。

そんな日々頑張っている卒業して間もないみなさんですが、現在、学生生活との大きな違いはありますか?

早起きになりました(笑)

(笑)。他にはどうかな?例えば学生時代のここがいきてるとか。

やっぱり職場の先輩たちに比べると、自分の技術や編集のスピードってまだまだで。大学でやっていることなんて卵みたいなものだなあと思いました。でもその卵の経験があるのとないのとはかなり違って、大学でいろいろな作品を見て作ってきたからこそ、先輩の思考を解読できる部分もあると思う。

逆に、卒業したからこそ言える、学生時代にやっておけばよかったことや、これだけはやっておけということはあるかな?

本当に自分の好きなものをつくることができるのが学生の強みだと思う。好きなことに素直に向き合って欲しい。仕事になると大勢の人が関わるし、自分がいいと思わないこともやらなくてはならない時間も増えるので、大学生のうちは好きなものを作ってほしいと思います。

無知の強さがあるからこそ、それを武器にガンガン作って、ガンガン発表していってほしい。

学生って失敗できることが、社会人との一番の違いかなって思うんで。仕事って誰かのためにつくるじゃないですか、学生時代100%好きなものをやりきらないと仕事でモノつくってもモヤっとしたものが残る気がするんで、好きなものを好きなだけでやれる時代は大事だと思いますね。

大声で照れずに好きなものをとことん作れる時間を大切にしようということなんだね。

最後にこのインタビューを読んでくれている受験生へ向けてひとことお願いします。

自分これ大好きなんです!って語れるものを持って欲しい。ない人は見つけて欲しい。やりたくもない課題にぶつかった時も、俺が好きなものはなんだ!って自分に問いかけることによって、自分の軸みたいなものが見えて来るはず、そして、大変な時でもそのぶれない軸が自分を支えてくれる。

大学入るのがゴールじゃないって言いますけど本当にそうで、入ってからが重要。そして卒業後のなりたい自分を少しでもイメージしながら過ごすことが、大学生活の過ごし方にいい影響を与えてくれると思います。

常に自分の好きなこと、そしてどう未来を過ごしたいかを考えることが大事なんだね。やっぱりモノ作りって自分との対話からはじまるのかも。今日は本当にありがとうございました。

  • ※1 進級制作:3年次「映像表現実習」「写真表現実習」の俗称。展示の企画、運営、制作全てを学生が主体で行うカリキュラム。
  • ※2 イメージフェノメナン:映像学科で独自に展開する映像の新領域

インタビュアー

坂元祐介

坂元祐介
映像学科非常勤講師。在学中から映画・演劇のジャンルを横断する表現集団「にがウーロン」に所属。
近年は静岡に生活拠点を移し、イベントスペースなどを運営する「OUT OF PLACE」にも参加。
ジャンルだけでなく、東京静岡を行き来しながら活動中。
にがウーロン www.nigaoolong.com
OUT OF PLACE www.out-of-place.com